イデコンポシリーズ(サッチ分解促進剤)

サッチとは?
ゴルフ場や競技場では芝生の長さを一定に保つために、頻繁に刈込みが行なわれます。刈込み後の刈芝はスイーパーと呼ばれる大型の機械で集草されますが、完全に除去することはできません。
また、芝生は永年植物であるため、古くからある根や匍匐茎(ランナー)は徐々に老化してきます。
この芝生に残された刈芝や、老化した根やランナーが土壌と混じりあって「サッチ」となり、長年に渡り蓄積したものが「サッチ層」となります。
サッチの影響
ゴルフ場や競技場のように踏圧が頻繁にかかる芝生では、芝生を保護するサッチ層は欠かすことができません。
しかし、サッチ層が過剰に厚みを増すと、通気性・透水性が悪くなり、これが原因となって、新根の伸長抑制や病気が出易い状態になってしまいます。結果として、健全な芝生の育成にとってマイナス要因となってしまいます。
サッチ層が厚いと芝生にとってはマイナスですが、全く無くなってしまっても芝生にはマイナス…。このジレンマの中でサッチ層の厚さを適正に管理することが、健全な芝生育成のためには必要となっています。
サッチの管理法
- 更新作業
ゴルフ場や競技場では、サッチを適正に管理する方法として更新作業が行なわれています。
更新作業とは、専用の機械を用いて穴を開けたり(コアリング)、縦に切れ目を入れたり(スライシング・バーチカルカット)する事で、物理的にサッチを除去し、更に芝の根やランナーの成育を促す作業のことを言います。更新作業により土壌中の通気性・透水性が改善し、土壌微生物の活動が活発になることでサッチの分解が促進される利点もあります。
しかし一方で、更新作業は多くの労力を要する上に、大量の芝カスがゴミとして生じるという問題もあります。このことから、作業を簡素化したり、あるいはまったく省略したいというゴルフ場が増加しています。
- サッチ分解促進資材
出光興産では簡素化される更新作業を補助する方法として、微生物を活用したサッチ分解促進資材「イデコンポシリーズ」を開発しました。
自然条件下でもサッチは土壌微生物により徐々に分解されていきます。しかし、そのスピードは緩慢です。そこで、外部より植物残渣(サッチなど)の分解能が高い微生物などを投入し、分解のスピードを促進させる資材のことをサッチ分解促進資材と言います。
微生物としては安全性の観点から、自然界に広く存在するバチルス菌(納豆菌の仲間)を選び、商品化しています。バチルス菌がサッチを分解するメカニズムは、その増殖過程で植物残渣を分解する酵素を産生し、その酵素がサッチを分解していきます。
サッチ分解促進資材には大きく分けて、バチルス菌などの微生物の力を活用したものと、微生物が出す酵素そのもの製品化したものの2タイプがあります。出光興産では効果の持続期間が長いことを特長とする微生物系の方が、安定した効果を発揮できると考え「イデコンポシリーズ」を提供しています。
近年、ゴルフ場や競技場では、芝生管理の省力化、コスト削減、環境負荷低減などのニーズが高まっています。このような環境の中、更新作業の負担を軽減できる新しいサッチの管理方法としてサッチ分解促進資材を提案しています。
更に、芝生から出る芝カスを芝生内で分解、堆肥化させることで、リサイクルという発想での管理ができ、環境負荷の低減を目指したコース管理を実現できると考えています。
イデコンポがつくるリサイクルシステム
■イデコンポがリサイクルシステムをつくりだし、芝生の生育環境を好適な状態に保ちます。
刈りカスや芝生から発生する残渣などのサッチを、イデコンポのバチルス菌が分解。
分解によって産出されたアミノ酸や糖は微生物のエネルギー源に。
イデコンポの働きがこの環境をつくり出し、芝生の生育環境を好適な状態に保つリサイクルシステムを創成します。
▼さらに、サッチ分解によって、芝生の生育環境はこう変わる!
◆表層の透水性と通気性が向上
→バチルス菌など好気性微生物が棲みやすく、芝の育成を阻害する嫌気性分解菌が生息しにくい環境を作ります。
嫌気性分解菌が産出する硫化水素ガスやメタンガスなど有害物質発生の心配も不要に。
◆農薬の効果が安定
→サッチ層が常に適切な厚みに保たれてるため、除草剤や殺菌剤など農薬の効果が、より安定します。
■バチルス菌がサッチ分解を促進し、芝の育成環境を改善します。
バチルス菌は、その増殖過程で植物残渣を分解する酵素を産出し、その酵素がサッチを分解していきます。 スポーツターフであるグリーンでは、サッチ層の急激な変化は好ましくありません。 グリーン用のイデコンポは、更新作業において好適な土壌微生物の活性化をサポートするサッチ分解促進剤です。 長く緩やかに確実な効果を発揮するバチルス菌を活用し、芝の育成環境を改善します。
対象区 | 散布区 | |
---|---|---|
サッチの厚さ | 17.9mm | 10.2mm |
サッチ部の風乾重 | 11.0g | 6.8g |
根部の風乾重 | 0.21g | 0.19g |
対象区 | 散布区 | 検体数 | |
---|---|---|---|
サッチの厚さ | 14mm | 10mm | 3 |
貫入抵抗値 | 9.6 | 10.0 | 10 |
表面硬度 | 97.2 | 101.5 | 10 |
※西日本グリーン研究所での試験
イデコンポの効果
(1)ターフクオリティの維持・向上
- マット感の解消
- 根部の活性化
- 芽数増加
- 葉色の維持
(2)管理作業の負担軽減
- 更新作業の補完
- 刈りカス処理の軽減
- 集草作業の軽減
(3)環境負荷の軽減
- 刈りカス廃棄料の削減
- 農薬・化学肥料の削減
有機物を微生物の力で分解させることで、アミノ酸からアンモニウムイオンまでを吸収させて、芝生の活力を高められます。
ニーズに応じてお選びください
フェアウェイ用には、窒素分、土壌微生物相の健全化作用、サッチ分解能力のバランスが異なる、 3種類のイデコンポをご用意しました。ターフの状態や管理ニーズ等に応じてご利用いただけます。 植物性有機質(ナタネ粕、大豆粕、米糠)を原料とした指定配合肥料のため、肥料焼けや匂いの心配はありません。
イデコンポ21S
土壌微生物相の健全化作用と、窒素分を抑え た設計により、芝の伸長を緩やかにし、刈り込 み作業の負担を軽減します。分解したサッチ が肥料効果を発揮し、肥効を持続させます。
イデコンポNX
サッチ分解能力と窒素分を高め、葉色の立ち 上がりを向上。秋の使用でも高い効果を発揮。 大豆粕配合により、2種類のバチルス菌の初期 増殖を促進し、肥効を持続させます。
イデコンポEV
2種類のバチルス菌の働きで、土壌微生物相の 健全化作用とサッチ分解能力をパワーアップ。 ペレットサイズのさらなる細粒化と崩壊性の向上により、散布後の目立ちをさらに抑制します。
◆製品内容<指定配合肥料、20kg袋>
品名 | ペレットサイズ | 肥料成分(%) N-P-K |
その他成分含量(%)※参考値 | 有機率 | 含有微生物 | 使用量 | 使用時期 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ケイ酸 | 腐植酸 | 石灰 | 苦土 | |||||||
イデコンポ21S | 3.0mm×4.0~5.0mm | 4-3-1 | 3.0 | 8 | 11.0 | 1.0 | 73% | B.subtilis | 30~40g/㎡ | 3~11月 |
イデコンポNX | 2.5mm×2.5~4.5mm | 6-2-5 | 1.6 | 22 | 1.0 | 1.3 | 72% | B.subtilis B.pumilus |
30g/㎡ | 3~11月 |
イデコンポEV | 2.5mm×2.5~4.5mm | 10-2-4 | 3.2 | 22 | 1.3 | 0.7 | 66% | B.subtilis B.pumilus |
30g/㎡ | 3~11月 |
※その他、有機原料由来の鉄、マンガン、ホウ素などの微量要素を含む。
●コース管理作業や土壌環境に応じてお選びください。
イデコンポGは細粒のため、通常の肥料散布機で容易に散布可能。更新作業時の併用が効果的です。
イデコンポGS-Rは水和タイプのため、農薬や液肥等の資材と混用可能。スイーパーの入れない法面ラフ等での使用も可能です。
◆製品内容
品名 | 規格 | 成分 | 含有微生物 | 標準使用量 | 使用時期 |
---|---|---|---|---|---|
イデコンポG | 細粒 (10kg袋) |
硬質ゼオライト | B.subtilis | 40~50g/㎡ | 3~11月 |
イデコンポGS-R | 水和タイプ (250g×12袋) |
界面活性剤 増量剤など |
B.subtilis B.pumilus |
0.2g/㎡ | 3~11月 |
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